テアトロミリアム(旧栃木県の演劇情報)

栃木県内の演劇について語るブログです。

ウォーキング・トゥギャザー

ファンファンミュージカル 第13回公演

 作・演出・振付 萩原真理子

 作曲・音楽監修 齋藤どらみ

 2026年10月11日(日)11時

 宇都宮市立南図書館

    サザンクロスホール


宇都宮のミュージカル劇団ファンファンミュージカルの第13回公演である。この劇団はもともとは市の芸術祭のミュージカル部会として発足したもので当初いろいろ苦労した経緯は比較的近くで筆者も見てきたので今回の作品を観てよくここまで成長してきたものだとしみじみと思った次第。


とにかくミュージカルだった。それもアメリカハリウッド系列のセンスの良さとおしゃれさを兼ね合わせた舞台になっていた。


とある街なかのカフェテリア。ブラックコーヒーとパフェしかないそこは店主の男性の夢の結晶。そこにさまざまな客がやってくる。郵便屋も果物屋もやってくる。コーヒーの香りに包まれて美味しいパフェを楽しむ常連達。そこに大荷物を抱えた新規の客がやってくる。孤独。何かを残したかった、成したかったのに何もできなかった虚しさと絶望。何故か成し遂げられてしまったバクダン製造。ついでだから店ごと客ごとふっとばそうと。その瞬間彼女はそこの支配者になれた。でも・・・。


ばらばらでそれぞれにいろいろ抱えていたものもいないものもやはりみんな関わり合って助け合って一緒に歩いていけたらいいね。という孤独からの脱出の物語。


客席に座って舞台を見た瞬間見えたのは。サザンクロスホールの壁面をそのまま内装として使ったおしゃれなカフェテリア。入り口、所々に置かれたレンガ風のオブジェが店の境界を示し、他にはテーブルとカウンターと椅子。舞台全体をバランス良くうまく使って街なかの店を作り出していた。


雑踏。行き交う人々。皆タップダンス用の靴を履いており、その靴音が音楽と相まって賑やかな街路風景を描き出す。もうすでにここがミュージカル!だった。やがて三々五々やってくる客。そして常連同士の日常的言葉のつつき合いが一転バクダンを持ってやってきた女性のカミングアウトで緊張感満載の非日常に変わる。全員が個性的で実にいい味をしているのだがやはり強く記憶に残ったのはバクダン犯役の新井陽子の全力投球の演技。孤独を拗らせブチ切れた感じ。そして作・演出・振付と今回もリードを取った萩原真理子の存在感。この間のバックシャンの公演でのまったりした天然風とは異なりしっかりとした行動的な役を演じていた。この方は本来ダンス方面の専門家だがミュージカル劇団を表も裏もも引っ張っていく頼もしい存在になったなと感慨を持った。


今回は語るように歌うシーンもありまだ発声に不安定さはやや残るがコーラスの力強さは素晴らしかった。しかしこの劇団の魅力はやはりタップである。3人のタップクルーの見せ場も良かったがなんと行っても総勢18名が踊るタップの迫力は見どころだった。ミュージカル劇団を名乗る団体は数あれどこのスケールのタップができる劇団はそうはないだろう。


筆者子供の頃ミュージカルは洋画劇場でしか観たことはなかったが当時ハリウッド製ミュージカルといえばタップダンスだったような記憶がある。今回の舞台で傘が出てきたときは思わずジーン・ケリーの「雨に唄えば」を思い浮かべてしまった。今回の舞台はあの頃の楽しいアメリカ製ミュージカルの匂いがした。


ただ以上のような雰囲気の割に使われていたネタの表現がややシリアスすぎたかなという気はした。途中で子供の泣き声も聞こえたくらい迫力ある真に迫ったシーンがいくつかあったがちょっと重すぎたかも。テーマは今という時代を生きる人々の心情をきちんと切り取っているし、ネタ自体もそれでいいと思うが途中もっと笑いに抜いたりど直球ではなくかすめたりそらしたりできればよかったかもしれない。それには間合いやテンポが重要になるが。この重さにラストの大団円がちょっと引きずられたように客側として感じた。


とはいえミュージカルとなれば脚本、作詞、作曲、歌、ダンス、演技とやることも多く時間も費用もかかるだろう。何より歌ってタップを踊るとなれば体力もかなり要。その中でオリジナル作品の公演を続けているのは情熱と意欲があるからだと思う。栃木県内でも唯一といえるタップのできるミュージカル劇団としてこれからも上演を継続していってほしい。

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ウソと女とメゾン月影

劇団三十六計40周年記念公演

 脚本 皿井好美

 演出 戸田古道

 2026年10月4日(日)14時

 サザンクロスホール


宇都宮の老舗劇団劇団三十六計の40周年記念公演である。劇団は作るのも大変だが続けるのはさらに大変というのは演劇に関わっているものならたいてい知っていると思うが、やはり40年という年月は長い。私の知っているのはそのうちの30年くらいだろうがいろいろと紆余曲折があったのは知っている。それらを乗り越えての記念公演というのはやはりめでたいことではある。


場所は個性的な女性たちが暮らすマンションメゾン月影。ある日大家兼占い師のマダム月影がネット詐欺にあい銀行口座を凍結されたことから住人たちの家賃を持参してもらうことに。やって来る女性たち。オタ活女子、効きそうな水を販売するシングルマザー、地下アイドル、VTuber、秘密を抱えた母親。占いをきっかけにそれぞれのウソと本音が明らかになっていきそれぞれの絆が再構築されていく。


観ていてまず思ったのがこれまでの三十六計の持ち味でもある昭和の香りが一気に令和になっていたこと。これは今回脚本を書いた皿井好美の時代感覚にもよるだろう。今風のネタを使い抱えた過去の解消と新たな人間関係構築の脚本を仕上げている。本人と本人の本音を分割し別の役者に喋らせるというアイデアも面白い。テンポもよくサザンクロスの舞台を十分に使いこなしていた。ただ描いているのは結構オトナの事情的なものではあるが表現における歌謡ショー(それぞれのキャラが出てくるごとにマイクを持ってワンコーラス歌を歌う)と服に誰それのと書いたキャラの分身の喋りは本格的な芝居というよりも三十六計が通常業務としている啓発芝居の影響が強いのかなという感じはした。


歌謡ショー的なノリは以前の舞台でも見たことがあるが初めて三十六計の舞台を見た人間にとっては困惑する表現であったかもしれない。ただこれまでいろいろとあった40年を見てきた人間としては、最近過去作の再演や既成戯曲を主とした上演ばかりだったのと比べて新しい時代の風が吹き込んだように思えて嬉しく感じた。主宰かつ演出の戸田古道の持ち味である昭和の人情噺と合わせ、これからオリジナルの令和の風が吹く作品が上演されていくことを期待する。


脚本の違いからかもしれないがマダム月影役の齋藤定子もこれまでとは違うすっきりと若々しいイメージになっていたような。ただ占い師ならもうちょっとアクが強くてもいいような気もした。さらにもう1人脚本にぶっ壊れキャラ、バリキャリウーマンと三面六臂の大活躍だったさらみ(皿井好美)の印象が強く残った。30年前の三十六計を思わせる明るい爆発的パワーを特にぶっ壊れ三輪車キャラに感じた。バリキャリウーマンの母親役のきりりとした存在感もいい。これからの三十六計を引っ張っていく存在になりそうな気がした。


今回の舞台、発想はいいが人物の掘り下げがもっとあるといい。それにはひとりひとりのモノローグではなく普通に複数の人物たちがそれぞれ過去をしっかりと持った人物としてどう関わらせていくかというところにあると思う。そこに芝居の醍醐味はあるしそのほうがキャラもさらに立体的に描くことにもなるはずだ。そうしてこそテーマも物語もしっかりと伝わってくることになるだろう。


ところで今作の小道具であるタロットカードだがおそらく脚本の皿井は知っていて書いてると思うができればもうちょっとらしく扱ってほしかったかもとは一応元占い師の筆者の気分ではある。タロットカードの種類、シャッフルしての選び方、正と逆の意味。占い師ならどちらかはっきり決めた上で、もしこうすればいい意味になるとかいう方向に持っていってほしかった。


ともあれ40周年おめでとうございます。これからもさらに年月を重ねて老舗劇団として頑張っていってほしいと希望して今回の感想としたい。


ところでマダム月影ってやはりおネエさまなのだろうか。そして最後のヅラ小ネタギャグもまた三十六計らしさではあった。

 

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ロミオとジュリエット

自治医科大学演劇部 卒業公演

 演出 戸田陽菜、吉見悠

 2026年10月3日(土)13時

 アトラスアリーナ1階演劇部部室


シェイクスピアの作品の中でも特に有名な作品であり舞台化、ミュージカル、あるいは映画の題材として何度も使われてきた。あるいは対立する両家と愛し合うそこの娘と息子というストーリーは時代劇などでもネタとして使われてきた。今年の自治医大演劇部の卒業公演は1900年代の同名映画と2024年の同名日本版ミュージカルをもとに原作に沿って書き下ろしたオリジナル版とのこと。


イタリアヴェローナの町の名家モンタギュー家とキャピュレット家は非常に仲が悪く町中での喧嘩沙汰もしばしば。キャピュレット家の娘ジュリエットに金持ちの貴族との縁談が持ち上がる。見合いも兼ねて行われた仮面舞踏会で半分冷やかしに来たモンタギュー家の息子ロミオとジュリエットは許されぬ恋に落ちる。両家の間の憎悪は更に高まり争いの中でロミオはジュリエットを愛する彼女の従兄ティボルトを刺殺してしまう。ヴェローナから逃亡する夜2人はジュリエットの乳母の導きで思いを遂げるがすれ違いと不運が重なって最後に2人はともに命を落とす。それによって両家は和解をすることになるのだが。まだ10代の恋人たちの悲恋を描いたシェイクスピア悲劇の代表作だ。


今回は看護部が主導する公演となった。卒業年ともなると実習と国試対策と就活という息つく暇もないスケジュールの中よく頑張って歌とダンス、さらにこの大作のセリフと格闘し一つの舞台に仕上げたと思う。衣装はウエストサイド物語を彷彿とさせるモンタギュー家のジーンズとキャピュレット家の黒を基調とした対比。大人たちの衣装も現代準拠のものが大半となっている。別にシェイクスピアだから当時に合わせた衣装の必要はない(筆者トレンチコートのマクベスも観たことがある)し、演者たちの年令から言ってもこの方がかえって自然な感じさえした。


セリフも今風の単語を使って全体のイメージが統一されているように感じた(これもウエストサイド物語的)ダンスの躍動感は若さもあってさすが。ただ歌の方はもう少し声を下支えできる発声ができると良かったと思う。語るように歌うというのは基本的発声がしっかりしていないときつい。見せ場での歌の言葉が聞き取りにくというのはもったいない。


一方で演者たちのそれぞれの真摯な熱い演技は素晴らしく最後はかなり気持ちを持って行かれてしまった。特にロミオ役戸田陽菜の動きの良さと存在感、安定感はこの作品を主導した立場もあってか印象に残った。存在感という点ではティボルト役の鈴木雄大もいい。初々しくひたすらにロミオを思うジュリエットを演じた吉見悠とともにジュリエットを挟んでのこの両者の対立が舞台を盛り上げていた。


若いがゆえの一途さ。まだ16歳の世間も恋も知らないからこそのひたすらな恋。若者たちの危うい暴走はそれを阻止しようとする大人たちの壁が厚いほど激しく燃え上がり悲劇的結末へ突き進んでいく。一方大人たちは世間の柵に縛られ身動きできなくなっている。この両者の軋轢が記憶に残る作品だった。ストーリー自体は子供の頃読んだ児童向けの本で知っていたが舞台として観たのは実はこれが初めてだったりする。大人たちの有り様は今回初めて理解したと言っていい。シェイクスピアの作品は人間関係の構築はいつもしっかりしており、そこから生み出される物語はやはり感情を揺さぶってくる。今回の演者たちがそれぞれのキャラクターをきちんと演じてくれたからこその成果だったと思う。


ところで筆者実はかなり昔にヴェローナへ行ったことがある。石造りの古い建物が並ぶ静かな町だった。で、そこにはジュリエットの家という観光スポットがあってそこだけは多くの観光客で賑わっていた。本当にそうなのかはわからないがバルコニーもあるきれいな建物だった。1階は確か売店になっていたような。最初に現代のヴェローナから始まる展開を見ていて当時を思い出していた。関連リンクは下に貼っておく。


https://amoitalia.com/area/veneto/verona/casa-di-giulietta/

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これからの演劇情報(栃木県内+県外情報) 2026年9月20日更新

街の劇presents

落語的ピアノ演奏付き一人芝居

怪談「牡丹燈籠」

 原作 三遊亭圓朝

 演出・出演 峯素子

 2026年9月26日(土)27日(日) 両日14時30分

 一般 2600円+1ドリンク 高校生以下 1500円+1ドリンク

 Cafe ink Blue 宇都宮市江野町9−8

   (オリオンスクエア東側)

 問い合わせ neopark01@gmail.com

 予約 https://torioki.confetti-web.com/form/4800

 

劇団三十六計40周年記念公演

ウソと女とメゾン月影

 脚本 皿井好美

 演出 戸田古道

 2026年10月4日(日)14時 17時

 一般 2000円 高校生以下 1000円

 サザンクロスホール

 公演情報 https://geki36k.shop/kouen/

 

能meets宇都宮

 主催 大の会

 2026年10月5日(月)

  16時 能meets謡十徳 大仏供養

  19時 一極解説 善界

 各講座 2000円

 栃木県総合文化センター3階

  古典芸能練習室

 公演情報 大の会

 

ファンファンミュージカル 第13回公演

ウォーキング トゥギャザー

 作・演出 萩原真理子

 作曲・音楽監修 齋藤どらみ

 2026年10月11日(日) 11時 14時30分

 前売り券 2000円 当日券 2500円

 宇都宮市南図書館 サザンクロスホール

 公演情報 http://www.fanfunmusical.org/

 

初戀カラフル/リヒト

劇団むしょく〜アスパラを添えて〜 第2回公演

 初戀カラフル 作 中神秀明 演出 隼

 リヒト 作 増渕美祐 潤色 百瀬タキ 演出 百瀬タキ

 2026年10月25日(日) 12時30分 15時30分

 アトリエほんまる

 公演情報 https://x.com/musyoku_1486

 

我楽多ノ輪舞

劇団en;

 脚本・演出 海月

 2026年10月31日(土) 11月1日(日) 

  両日 13時30分 17時30分

 一般 1800円 18歳割 1500円

 アトリエほんまる

 公演情報 https://x.com/gekidan_en00

 

タウリン1000mgシアター第9回公演 new

もう一つの幸せの星

 作 申千流驂

 演出 珠本玉磨呂

 2026年10月31日(土)18時30分

     11月1日(日)13時30分

 一般前売・Eチケット・予約 2000円

 学生前売・予約 1000円

  (当日500円増し)

 サザンクロスホール(宇都宮市南図書館)

 公演情報 https://taurin20xx.com/taurin9th_information.html


 

星人式

D*Bloom

 作・演出 立花一

 2026年11月7日(土) 18時

   11月8日(日) 13時 17時

 大人星人 2000円 子供星人 1000円

   (当日500円増し)

 アトリエほんまる

 公演情報 https://x.com/Dahlia_Bloom01

 

アトリエほんまるプロデュース

一人芝居✕日本文学

 町田カナ「刺青」 原作 谷崎潤一郎

 榊原毅「堕落論」 原作 坂口安吾

 2026年11月28日(土)18時

    11月29日(日)11時 15時

 予約 3000円 当日 3300円 U-22 1000円

 アトリエほんまる

 公演情報 https://x.com/soloactxjl

 

宇高演劇部OB令和5年度卒企画公演

胡瓜大根茄子人参蕪

 演出 R5卒一同

 脚本 石川空(澤修三)

 2026年12月5日(土)13時 18時

    12月6日(日)11時 15時

 一般 2000円 U-22 1000円

 アトリエほんまる

 公演情報 https://x.com/UTKdrama_OBR5

 

クリスマス公演2026

一人芝居「十二夜」

 作 W.シェイクスピア

 脚本 鵜飼雅子

 2026年12月20日(日)11時 14時30分

 前売り 3000円 当日 3500円

 アトリエほんまる

 問い合わせ yako_origin@yahoo.co.jp

 

モンタージューはじまりの記憶ー

アトリエほんまるプロデュース公演

いい歳をした大人の演劇サークル(もうじき)結成20周年記念

劇団today創立30周年記念

共創公演

 作 高泉淳子/井沢麿紀

 演出 片岡友美子

 2027年2月20日(土)14時 18時

    2月21日(日)11時 15時

 入場料 1500円

 アトリエほんまる

 公演情報 https://www.facebook.com/share/19nW21vdbC/

 

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追補 県外情報


演劇/微熱少年 vol.10

第54回朔太郎忌委嘱作品

早く家に帰りたい。/柵の向こうの朔太郎

 作・演出 加藤真史

 2026年10月11日(日)11時 15時

 一般 3000円 U-25 2000円

 高校生以下 1000円 (当日500円増し)

 太田市美術館・図書館視聴覚ホール

 公演情報 https://engekibinetsu.stage.corich.jp/

 

劇団だんでらいおん第4回プロデュース公演

MIRAGE

 脚本 真柴あずき+成井豊

 演出 かとうじん

 2026年10月17日(土)18時

    10月18日(日)14時

 ナルセグループ伊勢崎市民プラザ

 2000円(中学生以下 無料)

 公演情報 https://x.com/dandelion01144

 

iMap stage8

燕のいる駅

 作 土田英生

 演出 市村悟

 2026年11月7日(土)18時

    11月8日(日)14時

 美喜仁桐生文化会館 少ホール

 1000円

 公演情報 https://x.com/imap_since2019

 

邑楽町民劇団(仮)第7回公演

上州ジョー被害者の会

 作・演出 志具野賢

 2026年11月28日(土) 18時

    11月29日(日) 14時

 邑楽町長柄公民館ホール

 1000円

 公演情報 09065870745

 

劇団√6公演

熱海殺人事件

ザ・ロンゲストスプリング

 作 つかこうへい

 演出 福田バツマル

 2026年12月19日(土) 20日(日)

 百景社アトリエ(茨城県土浦市)

 HP https://atelier100.tumblr.com/

 

たてびシアター 2026

中林企画

中林舞✕大竹直 ひとり芝居

〈二本立て公演〉

 「ゴーストの友人」

   脚本 北川陽子(FAIFAI)

   演出・出演 中林舞

 「神話とおっちゃん」

   作・演出・出演 大竹直

 2027年1月21日(木)〜24日(日)

 群馬県立館林美術館 別館

 

表現ユニットえんぶる第4回公演

家族✕シチュエーションコメディ!!

おい!オヤジ。

 脚本 佐藤秀一(アンドリーム)

 演出 上田裕之

 2027年4月24日(土) 25日(日)

 人材派遣ワイズコーポレーション

  境総合文化センター 大ホール(伊勢崎市)

 公演情報 表現ユニットえんぶるHP

 

 

 

 

ヒロイン

足利市民プラザ演劇祭2026

あちゃらかきっず第36回公園

 作 相馬あこ(100点un・チョイス!)

 演出 KAZUAKI

 2026年9月13日(日)14時

 あしかがフラワーパークプラザ(足利市民プラザ)

    文化ホール


今年のあちゃらかきっずの公演は相馬あこ(100点un・チョイス!)作の家族の絆と少女の夢をを描いたファンタジーな物語。


子供は未来に夢を持つ。ただのあこがれかそれとも切実な思いがあってのことか。挫折や苦労。思い通りに行かない世の中で成長につれて記憶の彼方に置き去りにされた思い。でも僅かに残るその断片が空白のまま小さな棘となって残り続ける。過去は変えられない。でももしも過去に戻れたらその空白は埋められるのだろうか、そこに何か大切なものが置き去られているのではないか。


何代か続く老舗の銭湯には主の夫婦と番台を切り盛りする主の弟(動画配信者らしい)と妹(既婚者。妊娠中)の一家が住んでいる。三々五々やってくる常連客との軽口も楽しく。そこに銭湯紹介のケーブルテレビの撮影隊がやってくる。ディレクターとカメラマン、案内役のベテランタレントそしてお世辞にも演技がうまいとは言い切れない若いエキストラの女優。繰り返されるリテイク。ふと自分はなぜ女優を目指したのか疑問に思う。だが思い出せない。そこにやってきた主の妻(実質のオーナー)が女優を見て彼女の名を口走る。「みさとちゃん?」


突然ディレクターが何故か時間を操り17年前に時間が戻る。離婚のあと再婚したばかりの主夫婦。女優に夢を持つ小学生の娘。夢を諦め自堕落に日々を送る弟。淡い恋の雰囲気の妹と牛乳屋の青年。その中でみさとは本来の自分の夢を見出していく。


若年性アルツハイマーという主の病の発病は6月のアトリエほんまるでのひとり芝居フェア「これ以上削れない3」でTAKE(劇団バッカス)が演じた認知症を発症したケアマネージャーを演じた話を思い出させる。自分が家族も仕事もすべての記憶も忘れてしまうという恐怖は様々な絆、いいものも辛いものも含めてその中で思い深く生きている人間にとって非常に辛いものとなるだろう。この主の離婚のあと親権を得て育てている娘への深い愛情と病への苦悩、限界を感じ元の妻へ親権を渡さねばならないという辛さが強く伝わって来る。もともとの味として持っている温かさも相まって惹き付けられた。


自分が忘れ去っていた過去の記憶を思い出したみさと。別れても忘れ去っていたとしてもTVで女優をしている自分を見て気づいてほしいという願いを持って元妻に引き取られていく子供時代のみさと(みく)そして大人となったみさとは(間にいろいろあるが)懐かしい人々のもとへ帰還する。


タイムトラベルというにはファンタジーというかいささか都合のいい部分もある脚本ではあるが人々の等身大の思いがとても温かく伝わってくる。とにかく主夫婦とみさととみくを中心とするそれぞれのキャラクターの有り様が本当に自然であり、だからこそ素直に心も温まってくる。夢を忘れたもの、夢を諦めたもの、強制的に夢が失われたもの、それぞれが絆とともに夢を取り戻す。


印象に残ったのは再婚ゆえの悩みを抱え、新たに病の苦悩を抱えつつも互いを思いやって日常を積み重ねていく主夫婦(kansai、いとーーーーーー)失った夢を取り戻していくみさと(きょん)とみく(栗原栞愛)。愛嬌と違和感満載(笑)のディレクター他の役者も皆適材適所。それぞれの日常を生きている存在感がこの物語の空気を作り上げていた。


あと、毎度ながらあちゃらかきっずの舞台装置はいい。舞台中央に自然と視線が行くような構造。生活感あふれる調度品。また、17年前と現在の場転や衣装の着替えも短時間にきめて鮮やかだった。


上演後の話にもあったがこの話。特に親となった人には来る話だろう。子供が巣立つこと。認知症の問題。いつか来る別れ。互いを思うほどにその時の辛さや重さを感じずにはいられない。それでもなお、いろいろな困難を乗り越えて覚えていた、覚えていてほしい記憶や思い。そういうものの大切さを思わせられる作品だった。


足利市民プラザ演劇祭。できれば他の劇団公園も見たいのではあるがやはり現状宇都宮からは遠い。もう少し余裕ができればと思うところである。

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いかけしごむ

あそびや企画プロデュース

 作 別役実

 演出 あそびや

 2026年9月6日(日)11時

 アトリエほんまる


別役実の作品は不条理劇である。不条理劇とは「人間の存在の不合理性や無意味さ、不毛性を舞台上で表現する演劇の手法及びその潮流」(AIによる)とのこと。今回の作品で描かれている人間存在の不条理とは。


そも、いかけしごむとはなんぞや。発明した男いわく“イカで作った最高級のけしごむ”らしい。突拍子もないことを言う男とリアリズムを押し通そうとする女。さて、リアリズムとはなんぞや。


夜。街の奥にある公園。上手手前に易占いの文字が浮かぶぼんやりした薄赤い光の灯る行灯の載った机。下手奥に古い街灯。その前に「ココニスワラナイデクダサイ」という看板とベンチ。そこに女がやってきてベンチに座り編み物を始める。カバンと黒いゴミ袋を抱えたサラリーマン風の男がやってくる。男の持つゴミ袋の中にはイカけしごむの原料のイカが入っているという。真っ向から否定する女。リアリズムに立って考えればそれは・・・。


女の言う男の犯罪が証されたと思ったあとのどんでん返し。一見正しいことのように思われるリアリズム。でもそれは本当にリアルなのか。


まあ、イズムという言葉がついている限り理念であり女のいっていることは結局彼女の世界観に基づく憶測に過ぎないわけで。演劇にしろなんにしろそのあたりのことを意図して書かれているような気がする。


この不条理劇をゆうや(遊幻空間)と大島朋恵(りくろあれ)は十分に表現しきった。落ち着いた声音ながら内容がきちんと届いた最初の語り。その後の男に対するリアリズムによる糾弾の強さ、強引さ。編み物を続けながらの論破は意外と自然に見えていた。一方男の方は女の論に押しまくられうろたえる部分が多く、自分の命の危険も込みでどこか怯えもあり気の弱さも感じられた。男を演じたゆうやは「新・幕末純情伝」の龍馬のように前に出ていく強い役が多かったが今回のような受け身の役もいいなと思った。また今回刑事役は毎回違う役者が演じている。大野暁久(遊幻空間)、TAKE(劇団バッカス)、中三川雄介の三人であり筆者が観た回はTAKEだった。ついこの間演劇企画シャングリラの「傷は浅いぞ」に続いての登場。すごいバイタリティである。


事実は小説より奇なり。という言葉もある。リアルとリアリズムの違い。リアリズムに従った言葉がリアルを映すとも限らない。そして芝居はどうやっても作者の脳内で作られた作り物である。それを所詮嘘という人もある。そこにリアリズムを組み込んでも作りものであることには変わらない。では芝居は嘘なのか。


個人的に芝居は虚であっても客と出会うことで実になるのではないかと思う。客という人間の中にある問題意識やこだわりその他いろいろな記憶。そういうものが芝居の内容に刺激され感動を生んだりする。その時芝居は意味を持つ。虚の中にリアルが立ち上がってくるのではないか。リアリズムが奇妙キテレツなリアルに敗北した不条理劇を観てそのようなことを考えた。


ところでこの間の演劇企画シャングリラに続いてあそびや企画という新たなユニットが誕生した。あそびや企画は劇団遊幻空間のゆうやが立ち上げた二人芝居を中心とする少人数演劇のユニットとのこと。通常の劇団公演の他に現在の栃木県の演劇界、様々な公演形態が行われている。その中でいい役者がどんどん育っている。そして育った役者がまた自ら新たな演劇企画団体を立ち上げる。いい形ができてきているような気がしているのでこれからが楽しみだ。

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歩かなくても棒に当たる

演劇ユニットバックシャン 第8回公演

 脚本 安藤奎(劇団アンパサンド)

 演出 片岡友美子

 2026年8月29日(土)18時

 宇都宮市立南図書館サザンクロスホール


ルールは守られることに意義がある。ただルールを厳格に押し付けすぎるとどうなるか。ルールへの執着と困惑。それでもルールからはみ出すのもまた人間。さて。


歌って踊れるお姉さま4人衆による楽しい舞台。今回は複数の棟からなるマンションを舞台にしたホラーコメディ。外部から2人の客演を迎え6人で上演された。


マンションのゴミ集積所。ゴミ収集車のやってくる時間に合わせて決められた持ち込み時刻。三々五々やってくるゴミを持った住人たち。しかしゴミ集積所の中にゴミはない。ゴミ収集車はやってきたのかそれともまだなのか。しばし様子を見ようと立ち止まる。4人の住民と新しく引っ越してきた若い女性。若い女性が入室した部屋の前住民には何か曰くがあるらしい。やがて亡くなったはずのルールに執着していた前住民の女性がごみ集積所の中から登場。不倫やらなんやらの脛に傷を持つルール破りの住民たちを引き込んで断罪していく。でも一番のルール破りは誰なのか。


1回公演のかなり埋まった観客席から笑いも漏れる芝居だった。ややまったり感のあるテンポではあったがそれぞれの個性と間合いのうまさが生きていた。


一番始めに出てきて目立っていた萩原真理子。まったり天然の雰囲気に間合いの妙が印象的。亡者のはずなのに一番元気で猛々しい(苦笑)前住民の齋藤定子(さだこで変換したら真っ先に貞子が出てきた。当たらずといえども遠からず)どっしりと背景を支えていた西村典子。劇団ネクスト・ステージらしいキビキビと反応のいい若手のGAR。クセ強な思い込みの激しい不倫女役の佐藤由美。客席への投げかけ方がうまいなと思った小澤裕美(劇団スターライト)本当に全員が個性的だった。


ただ先にも書いたが芝居全体がどこかテンポが遅い感じがあった。思うにこの芝居に対しての舞台の大きさ、広さの問題ではないかと思う。特に横幅。入りはけの距離と演技の場への動線が長かったのでは。感覚的に小劇場サイズのほうが合っていたような気がする。ただ、今回1回公演ということであれだけの観客となると小劇場では2日間2回の上演でないときついかもしれない。


あと場転もやや取り過ぎの感があった。もう一つ背景のマンション映像は必要だったのかという疑問もある。むしろ大黒にしたほうが照明効果も使いやすかったのではないかと思う。


ラストバックシャンならではの「どうにもとまらない」の曲にあわせて6人のダンスで締め。元気な女性たちによる舞台の完了となった。コメディとして楽しませてもらったが、今回のような作品もいいがそろそろ歌とダンスというバックシャンならではの明るく楽しい舞台が観たいなと思うこの頃である。

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